本日は 第79節 社会連合という理念 から
ある社会連合の共有された目的は、同一の特定のことがらに対する共通の欲求に過ぎないものでは
ない。
人びとは概して、同種のことがら、たとえば自由や機会、住まいや食物を欲するが、こうした欲求が
人びとを対立させることもある。
ゲームは競争的な側面を有しているけれども、多くのゲームは明快にこの種の目的〔共有された目
的〕の一例を示している。
すなわち、ゲームをフェア・プレーで見事に遂行したいとする公共的な欲求は、もしすべての人の熱
意や喜びが色槌せてしまわないのであれば、統制的で実効的なものであるに違いない。
芸術や科学、宗教やあらゆる種類の文化の発展は、高級なものであれ低級なものであれ、当然ながら
ほぼ同じような仕方で考えることができる。
相互の努力から学び、そうした努力によって果たされるさまざまな貢献を正当に評価することを通じ
て、人間は徐々に知識と信念の体系を築き上げて行く。
共通の達成目標は芸術、科学もしくは宗教それぞれの伝統によって規定されるため、深遠で複雑なも
のとなることが多い。
そして、この達成目標を理解するためには、しばしば多年にわたる修養と研鐙を積むことが必要とな
る。
肝心なことは、共有された最終目的が存在しなければならず、かつこの目的を促進する方法が広く受
け入れられることにより、すべての人の功績の公共的な承認が可能とならねばならない。
この目的が達成されるとき、誰もがまったく同じことに対して満足を見出す。そして、この事実は、
個々人の善が備えている相補的な性質と相伴って、共同体の絆を確かなものとするのである。