少し、蟻の正義が米国の正義に悖るのか考えてみたい。引用文献は長谷川英祐『働かないアリに意義がある』2011年第6刷による。
序章 ヒトノ社会、ムシの社会
所属する集団が他の集団とどのように対峙しているかは、集団に属する個人の運命を左右する。
個人と社会は相互に影響を与えながら、並行的に存在し、個人と社会の利益の間には齟齬が生じる。
ハチやアリの多くは女王を中心に集団生活を営み、コロニーとよばれる集団を作る真社会性生物である。
真社会性生物は、シロアリ、アブラムシ、ネズミ、エビ、カブトムシ、カビの中にもみられる。
ハチやアリのコロニーには普段はメスしかいない。
オスは1か月ほどの人生の期間中働かず、1回交尾すると死ぬ。
シロアリ、ハダカデバネズミは、コロニーの中に常時オスとメスの両方がいて、女王と王、オスとメスの働きアリ等がいる。
自分の子供を残すという個体の利益になる行動をしないのに、他個体の繁殖を補助する行動をとる「利他行動」とよばれる行動が、真社会性生物とその他の社会性生物の区分点である。
真社会性生物の社会でも、協力、裏切り、出し抜き、殺し合い、戦争がある。