r>g 資本収益率と経済成長率(11)




本日は第13章 21世紀の社会国家






 

 

 

 新しいグローバル経済は、莫大な希望と莫大な格差をもたらした。

 

 格差スパイラルを避け、蓄積の同額に対するコントロールの手法は、資本に対する世界的な累進課税だ。

 

 2008年の危機が大恐慌を引き起こさなかったのは、政府や中央銀行が、金融システム崩壊を許さなかったことにある。

 

 よい経済社会政策は、超高所得に対する高い限界税率以上のものが必要となる。この課題に最も適しているのは、累進所得税よりは累進資本課税である。

 

 

 

 富裕国は20世紀の間に国民所得の10パーセント未満が税金となるという均衡から、国民所得の3分の1から半分にまでその数字が上がった新しい均衡に移行した。

 

 

 現代の所得再分配は、公共サービスや代替所得、保健医療や教育年金といった分野の支出をまかなう。

 

 

 人は自由に生まれ、自由のままの権利において平等な存在であり続ける。社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ、儲けらない。(1789 フランス人権宣言)

 

 

 19世紀を通じこうした革命から生じた政治体制は、主に財産権保護に専念した。

 

 

 将来にとって特に重要となる問題は、高等教育への平等なアクセス、低成長世界におけるPayGo方式の年金制度の未来である。

 

 

 

 

 

 


 佐伯先生は、「西欧思想が「自由」という観念を発見したのは、人間を意思によってあらゆる行動を遂行する存在ととらえたからである。これに対して、東洋思想は、人間が意思をもってある選択を行うとは考えない。それゆえ東洋思想には西欧に対応する意味での「自由」の観念は生まれなかった。」とする。(『自由とは何か』 2004年)


 



 確かに「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。 舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。 古人も多く旅に死せるあり。」( 松尾芭蕉 1702年)といわれ、「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある、人と栖と、またかくのごとし。」(鴨長明 1212年)といった過去の思想家からその源泉は見受けられる。



 しかし、それは先生方が、遁世できる自由人であるからこそ、当該主張が一理あるように思えるだけではなかろうか、と筆者は考える。