下請代金支払遅延等防止法(2)

 この法律で「親事業者」とは,次のいずれかに該当する者をいいます。

3億円の資本金基準

 

 資本金の額又は出資の総額が3億円を超える法人たる事業者であって,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下の法人たる事業者に対し製造委託等をするもの

 

 資本金の額又は出資の総額が1000万円を超え3億円以下の法人たる事業者であって,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が1000万円以下の法人たる事業者に対し製造委託等をするもの

 

5千万円の資本金基準

 

 資本金の額又は出資の総額が5000万円を超える法人たる事業者であって,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が5000万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託をするもの

 

 資本金の額又は出資の総額が1000万円を超え5000万円以下の法人たる事業者であって,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が1000万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託をするもの

 

 

 つまり、資本金が1千万円を超える法人等が自分より資本金が少ない一定の法人に発注する場合、「親事業者」には一定の義務が課されます。以下にそれらの概要を述べます。

 

書面交付義務、書類作成・保存義務

 

 口頭発注による様々なトラブルを未然に防止するため,親事業者は発注に当たって,発注内容を明確に記載した書面を交付しなければなりません。

 記載すべき事項は,法令で具体的に定めてあり,原則として該当するものをすべて決定した上で記載する必要があります。

 

 

下請代金の支払期日を定める義務、遅延利息の支払義務

 

 親事業者は,検査をするかどうかを問わず,発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で,下請代金の支払期日を定めなくてはなりません。

 

 また,親事業者が,支払期日までに下請代金を支払わなかった場合,受領した日から起算して60日を経過した日から実際に支払が行われる日までの期間,その日数に応じ下請事業者に対して遅延利息(年率14.6%)を支払う義務があります。

 

 この遅延利息は,民法,商法や当事者間で合意して決めた利率に優先して適用されます。当事者間でこの遅延利息と異なる約定利率(10%など)を定めていても,その約定利率は排除されます。